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読み物としてのJIS規格#1 『安全マッチ』
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身の回りの製品をよく眺めると、上のようなマークを見つけることだろう。
これは「日本工業規格」(JIS)適合品のみが掲げることを許されたしるし。

JISとは、メーカーがトイレットペーパーや自転車などを製造する上での統一基準。
同じ基準でつくられるからこそ新潟の電気店で買ったソケットに、秋葉原の路上で買った電球が問題無くはまる。そして、一定基準の保証された品質で使えるわけだ。

JISの制定にあたり担当者たちは、おそらく誰よりも「鉛筆とは何か?」「蛍光灯とは何か?」をひたすら考えぬいたはずだ。JIS規格書を読んでみればそんな「筆者たち」の哲学と、ツッコミを入れたくなる不可解なこだわりを感じたりもするかもしれない。

【今日のワークショップ】
「JIS規格」(安全マッチ)を読んでみよう

マッチ棒の先端で、箱の側面を擦り発火させる「安全マッチ」。
「安全マッチ」にも規格が存在する。今回読むのは、規格番号:JISS4001 規格名称:安全マッチ
検索と閲覧はここから。

■マッチの種類
平型、大平型(寸六型)、並型、家庭小型、ブック形の5種類。


平型、並型

家庭小型、ブック型

それぞれ容器のサイズ、マッチ棒の材料で種類が異なる。
ブック型のみマッチ棒が紙製。

容器に含まれる標準本数は
平型24本、大平型(寸六型)33本、並型45本、家庭小型840本。
ブック形(紙軸)については,10 本、15 本、20 本、30 本、40 本のいずれかとなる。
(15本は制定時、議論の対象になったと思うがいかがだろう)

■品質
マッチを指で触れたり、火を付けたりして軸が折れないことや、燃焼の具合などを試験する。

また、湿気に弱すぎれば使いものにならないため、「頭薬の耐湿性」試験が行われる。
内容はマッチ棒10 本を水蒸気を飽和した30℃±2℃の容器に入れ、1 時間後取り出し、発火状態を調べるというもの。全て発火することが合格条件なので、なかなか厳しい。

同様に軸に対しても含水率(簡単にいうと軸の湿りやすさ)が調べられる。
まず通常時のマッチの質量を量る。その後、100℃~105℃の箱に入れて水分を飛ばしてからまた量る。これにより、軸木全体に占める水分の割合を求め13%以下である必要がある。
もし上皿天秤とオーブンが手元にあれば追試もできるだろう。

ちなみに炎を吹き消し、赤く燃え残った残火が何秒残るかも計測されている。
3 秒を超えるものがNGで、全体の 5 %以下である必要がある。
今度マッチを吹き消したら、3つ数えてみよう。

■不良軸
マッチ同士のへばりつき、折れている、先端の頭薬が半分以下、または全くついていない…などを「不良軸」という。不良軸は平均して全体の3%以下である必要がある。

【読書感想文】

「コアラのマーチ」というコアラをかたどったお菓子に、眉毛のあるコアラがまれに含まれていた。かつて女子高生の間で、見つけたら幸せになれる「まゆげコアラ」として話題になった。安全マッチのJIS規格書を読み、わたしがふと思い出したのは「まゆげコアラ」だった。

印象に残ったのは「許されるエラー」だ。つまり、JISマーク付きのマッチの中にはマッチ軸同士のへばりつきや先端の欠けたエラーが含まれており、湿気に弱く、炎が消えた後も3秒以上ぼんやりと輝いている個体が数パーセント「以下」に含まれることを示唆している。
そんなことを知ると、そのエラーを実際に見てみたくなるものだ。そんなわけで冒頭の「まゆげコアラ」探しを思い出した。

今、手元にあるマッチ箱をひっくり返してみたが、とりあえず遭遇率3%以下のエラー・マッチ棒は1本も見つけることはできなかった。数本に火をつけ、吹き消してみたが5%以下しかない3秒を超えて火が残るものは1本もなかった。

まゆげコアラに比べ、先の半分欠けたマッチ棒というアイテムは実に可愛げがない。
しかしマッチという燃えて消えてしまうような儚いモノこそ、幸福を語るラッキーアイテムとしてはよりふさわしいものにも思える。皆さんも、ぜひマッチ箱をひっくりかえして探してみて欲しい。幸せは意外と転がっていないものだ。

【終わりに】
…過去こんなに、マッチのことを考えたことは恐らくない。
身の回りのモノに対する見方はJIS規格を読むことで変わる。これはなかなか面白い体験だった。

次回も別のJISで試してみよう。
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