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(今さらだけど)「自炊」が予想以上に快適だった。
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rocketcomms.jp
本をスキャンする方の「自炊」の話。


ある土曜日、目を覚ますと急に部屋を片付けたくなった。長らく床の上に散らばったままの本や雑誌が目に入ったのだろう。
部屋を見渡せば、棚には1年以上もそこに置かれたままの本が大量に並んでいた。

これが目の前から消えて無くなれば、生活スペースも一気に広がるに違いない。
紐でしばりゴミ捨て場に投げてしまえば、いとも簡単に片付くことだろう。
しかし数年も捨てられなかったのには、それなりの理由があった。
好きで長らく定期購読していた雑誌や、神田で1日かけて探したレア本など。 いつかまた読みたくなるのだろう、多分…そう思うと捨てられなかったのだ。

全部捨てて部屋を片付けてしまいたいが、捨てないでいずれまた読みたい気分でもある…その両方を同時に満たすには?
その解決策は、紙の束を切り裂く「裁断機」と、紙の表裏を一度でスキャンしてくれる「ドキュメント・スキャナ」…これだった。
 

部屋の書籍を全て裁断機で切り裂いて、全てスキャンし本をデータ化する、いわゆる「自炊」と呼ばれる行為。
物体としての本は消えて部屋は片付くが、本の内容だけはデジタルデータとして残り、いつでも読める。
私は早速ヨドバシカメラに向かった。

「自炊」を初めてから10日ほどが経ち、これまでの生活にない新鮮さを感じた。今回は、

  • やってみて気づいたこと
  • 「自炊」に使用した機材
  • スマホで読むためのソフトウェア

この3つについて書いてみる。

【やってみて気づいたこと】

[1] 本にかかってた維持費がついに消滅
本を購入するため書店に代金を支払ったら、それでもう支払いは終わったように思っていた。しかし、ふと気付けば実は維持費がかかっている。
家賃を支払っている部屋に本を持ち込んだ時点で、部屋の空間に占める本の体積分支払いを行っていることとなるからだ(同じように、部屋の中のあらゆる物体に維持費がかかっている)。
本の場合、本棚や箱も必要となるから維持のために大きな体積が必要となる。
私は長きにわたり、本の維持のため「家賃の一部」として無駄な維持費を支払っていたことになる。
「自炊」では部屋に本を置く必要がなくなり、本棚も捨てられるようになる。


[2] 「自炊」という作業は気分転換に良い
作業は何も深く考えることもなく、ただ淡々と行えば良い。淡々と実行するだけで邪魔な本は着々と消え、そして報酬(データ)が次々手に入る。
裁断した本の切りくずの山、またはPC内のファイル数として、成果ははっきりと目に見える。やり遂げた感は心をポジティブにし、良い気分転換になる。

(…スキャン前には本を手で引きちぎる必要があるが、これだけでもストレス解消になる)

[3] 読まなかった本が読めるようになる
意外なことに、購入後何故かほとんど開かなかった本も「自炊」してみた後に、読めるようになった。
読んでいる媒体が紙の本からスマートフォンに変わったからだろうか。
書籍として手にとって読みたくなる情報もあれば、画面上で読みたい情報もあるということではないだろうか。
以前は電子書籍なんて「我慢しつつ読む」ものだと思っていたが、逆に本よりも画面上で読む方が良い場合もあることに気づいた。


[4] 読みたい本をいつでも「選べる」
これまでは家を出る前に、その日読む本をチョイスし鞄に放り込む、または「空き時間」に備え本をいれっぱなしにしておく必要があった。
2冊も3冊も持ち歩くのはその分荷物を重くなり移動も苦痛なので、結果的に屋外で読めるのは朝選んだ1冊になる。
しかしデータ化してあれば複数冊分をスマホに入れるか、サーバにアップロードしておけばいつでも読みたい本を「選ぶ」ことができるようになった。


[5] 「言霊」をたたき出しているみたいな不思議な感覚になる
これはおまけ。
「自炊」を繰り返すことにより、物体としての本が消滅していく。しかし、文中の言葉を吸い出したデータは逆にハードディスク上で増えていく。物体は消して、言霊だけがこの世に残る…という、ちょっと霊的で不思議なものを感じた。
CDをMP3にしてPCに取り込むことも似ているが、本は物体に手を触れて使用する点で存在感がでかいのだ。


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私の試した自炊環境は以下の通り。

【ハードウェア】

最初なので、まずは機材を安く揃えたいと考えた結果、以下の2台。10日ほど使ってみたが後悔はない。
[1] 裁断機 (カール事務器 ディスクカッター A4サイズ DC-210N ブラック)

…書籍を背表紙から手でひっぱがした上で、端をまとめて真っ直ぐに切りバラバラの紙にする。
自炊が進むと切れ端が大量に出て、こんな感じになる。



[2] ドキュメントスキャナ (BROTHER ドキュメントスキャナー ADS-2000)

…[1]でばらばらにした紙をスキャナで両面を読み取り、データ化する。
「自炊」に使うスキャナと言えば ScanSnap: iX500が人気のようだが、どこまで使い込むか不明だったので値段の安いこちらにした。
付属のソフトウェアは特にOCRの動作が重く使いづらいが、私はOCRも滅多に使わず文字が目で見て難なく読める精度なら十分なので特に不満はない。スキャン時の作動音は予想以上に大きかったが「静音モード」に切り替えれば気にならないくらいになる。

値段が安いが、スキャン速度や筐体の大きさなど見ても、まずまずの性能なのでコストパフォーマンスは良いだろう。
例えばこのADS-2000が壊れて新たにもう1台買ったとしても、それでもix500の値段より安いというのは驚き(2014/11/04の価格より)。
-> スキャン設定は、文字だけの小説でもカラーの雑誌でも全て「静音モード/ 300dpi / カラー設定:自動」で固定。いちいち切り替えるのは面倒なので。


[3] スマホ or タブレット等 (iPhone 5S)
…[2]で作った書籍の読み取りデータを表示するために使用。
私はiPhone 5Sを使用しているが、画面がもう少し大きい方が読みやすいと思う。


【ソフトウェア】

スキャナで吸い出したデータをいかにしてスマホに転送し、読むか。私はPCにWindowsを、スマホにiPhoneを使用している。
PCからスマホへのデータ転送は、iTunesでファイル転送するのが最も簡単だろう。しかし、動作が重いため私は好きじゃないからこれは避けたい。
そこで、FTPでデータをiPhoneにまとめて転送するようにした。WiFiでPCとiPhoneを同一のネットワークに接続すれば、あとはさくっと転送するだけで簡単。すべて無料アプリで実行できた。


[1] SideBooks (iOS/Android) -> DL
…ビューア。pdfファイルだけでなく、ZIP圧縮した画像ファイルにも対応。かゆいところに手が届く親切設計で使いやすい。

[2] Downloads Lite (iOS) -> DL
…iPhoneを簡単に、httpまたはftpサーバにするアプリ(脱獄不要)。サーバにするにはアプリを起動し、「設定」をタップ→「Wi-Fi転送」のスイッチをONにスライドするだけという簡単操作。
これでiPhoneがサーバになり、同一無線LAN内のPCからファイルを送信できようになる。
PCから本のデータを送るにはブラウザでもできるが、何冊分もまとめて送るにはFTPクライアントを使用するのが楽だろう。
データ受信後、このアプリから「ファイル」をタップして「iボタン」をタップ→別のアプリから開く→[1]のSideBooksを指定すれば、あとはSideBooksで読めるようになる。 SideBooks側に送り終わったファイルは消しても良い(アプリ上からでもFFFTPからでも消せる)。


[3] FFFTP (Windows) -> DL
…Windowsでは非常にメジャーなftpクライアント・ソフト。
Windows側からiPhoneにftpでアクセスし、ファイルをアップロードするのに使用。


【結論】

やってみたら部屋も気分も整理されたが、単に片付いて良かった…という気分だけでは無い。
なんだかとても不思議な気分なのだ。

立体物である書籍をまるまるスキャナで取り込むのは、三次元空間の街や地球をgoogleがネット上にデータとして取り込んでいったことに似ている。

両者の違いと言えば、破壊の有無だ。
googleは見なれた街を物理的に破壊せずデータ化するのに対し、現在の「自炊」行為には本の破壊が必ず伴う。

例えばいつか現実の街が消滅した時、googleのサーバ上にデータとして保存されたその街を眺めているとき恐らく感じるであろう不思議な感覚。
「自炊」はそれを10数分の間に体験させてくれる。

わずかな時間で書籍を破壊し、できた紙片をスキャナで取り込みデータ化し、その数分後にはスマートフォンの画面上に展開される。
あまりにもわずかな時間なので、「物体としての書籍を消滅させて、次元を飛び越えPC内に取り込む」そんなSFみたいな行為をしているように錯覚してしまう。…大まじめにいうとバカみたいけどね。

「自炊」を繰り返しやっているうちに、つまりはスキャナのスイッチを押したり、PCのマウスのボタンをクリックしたり…そうこうしているうちに現実の世界である部屋が片付いていってしまうのはどこか不思議なのだ。

とりあえず今年一番の良い買い物だったかも。

(2015/04/12追記)
現在は中華タブレットを使用しています。続きはこちらをご覧ください


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